GPZ1100バルブクリアランス調整
エンジンのバルブ・クリアランス調整とキャブレター調整を依頼されました。
走行距離こそメーター読みでは1万7千キロほどで、お客様は特にエンジンに不調を訴えている訳ではないようですが・・・
どうもこの「GPZ1100」は1年半前に中古で購入したバイクらしいのですが、何故かこの時点でエンジンを乗せ替えてあったらしく、2005年式の16年も前のバイクでもあり、お客様的には少し気持ちが悪いのか、不安なんでしょうか?
整備暦の判らないこのエンジンが、はたして何万キロ走行しているかも不明で、時間もそうとう経っているバイクでもありますし、今回の整備依頼となったようです。
作業に着手する前に、現時点でのエンジンの状態を把握しておくため、何時もの様にエンジン・コンプレッション(圧縮)や、バキューム(負圧)の測定など各部を点検しました。
点検・測定の結果は、各気筒共に圧縮に関しては基準値内で問題ありませんでしたが、#1エンジンの負圧が若干低いことが判りました。
次にシリンダー・ヘッドカバーを外し、シリンダー・ヘッド内を覗いてみると、なんとエンジン・カムシャフトのカム山表面が焼けて、虫食い状に剥離を起こしている事が判明しました。
やはり#1エンジンのカムが一番酷く、この後測定したバルブクリアランスに関しても、#1は基準を超えて狭くなっている事が確認されました。
これは長い間バルブクリアランスの調整を怠ってきた事や、潤滑不良などに起因していると思われますが、このままカムが焼けている状態にしておいても、改善ずるどころか悪くなる一方で、今後はエンジンからの異音や性能低下、果ては故障の原因にもなります。
早速お客様にお越しいただき、この状態を確認いただきながらカムシャフト交換の必要性をお話ししましたが、やはり一本3万円以上する部品ですので、今回は一旦保留で、このままロッカーアームのカム山接触面にモリブデングリスを塗布して組上げる事といたしました。狭くなっていたクリアランスはシム調整して、一先ずクリアランス調整は終了としました。
この後、エンジンにバキューム計を装着してキャブレターの調整を行いました。
計測器文字盤の針を睨みながら、パイロットスクリューやアイドリングスクリューを調整しつつ、各気筒間の同調をとりました。
カムシャフトがあんな感じだったわりに、ぴったり同調が取れ、アイドリングも安定しています。エンジンからの異音もなく、レスポンスも良い感じでしたので、ここは一先ず完成といたしました。
今回もいかに定期的なバルブクリアランスの点検や調整が大事な事か判りました。
また潤滑不良にはいろいろな原因が考えられますが、オイル交換を怠ったり、特にエンジンオイルの量が少ない状態で長く走る続けたりした場合などは、カムシャフトどころかエンジンそのものが潤滑不良で焼けてしまいます。
オイル交換の頻度や入れているオイルの種類(グレードや固さ)などにも気を配っていただき、3千キロ~5千キロ毎にはオイル交換してください。
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